半導体
半導体全般のことについてまとめていきます。専門がメモリなので、その方面が多くなるかもです。
半導体分野の種類
一概に半導体製品といってもLSI(大規模集積回路)や太陽光パネルなど、様々なものがある。
半導体の仕組み
半導体とは、と調べると多くの書籍やサイトで「導体と絶縁体の中間の存在」と紹介されている。
半導体とはトランジスタの主構成物であり、そのトランジスタが様々なものに使われている。
トランジスタの最大のメリットは、電気で電気を操ることができる点である。
使用方法としては、増幅素子、スイッチング素子として用いられる。
半導体の分類
半導体の電気的特性による分類
半導体は、電気的特性により2つに分けられる。
- 真性半導体 I型半導体とも呼ばれる。
- 不純物半導体 真性半導体に不純物を混ぜ、電気伝導性を良くしたものである。詳しくは後述する。
一般に電気伝導性は示さない。
半導体の材料による分類
- 単体半導体 Ⅳ族元素(第14族元素)を指す。
- 化合物半導体 化合物が半導体の振る舞いをするものである。
Si,Ge,Cなどが例に挙げられる。
化合半導体の中でも、Ⅱ-Ⅵ族半導体,Ⅲ-Ⅴ族半導体,Ⅳ-Ⅳ族半導体などがある。
化合物半導体
化合物半導体は、化合物同士の属によって分類される。
- ⅣⅣ属 SiGe
- ⅢⅤ属 GaAs,InAs,GaN,InP
- ⅡⅥ属 ZnS,ZnSe
GaAs半導体について
電子移動度が高い特徴をもつ。言い換えれば高周波特性が良い。
Si(電子)1400cm^2/Vs(正孔)500cm^2/Vsに比べ、GaAs(電子)8500cm^2/Vs(正孔)450cm^2/Vs
不純物半導体の種類
不純物半導体とは、Siなどの真性半導体に不純物をドープ(混ぜた)半導体を指す。
ドープする不純物の種類によって分類される。
n型半導体
n型半導体とは、Ⅳ族元素にⅤ族元素を加えたものである。
このドープするⅤ族元素のことをドナーと呼ぶ。
ドナーには、一般にPやAsが用いられる。
Ⅳ族元素は価電子を4個、Ⅴ族元素は価電子を5個持っているため、Ⅳ族元素にⅤ族元素を少量混ぜると価電子が余る。
この余った電子が自由電子となり電気伝導性を示す。
電子が移動していることから、negativeの頭文字を取ってn型半導体と呼ばれる。
p型半導体
p型半導体とは、Ⅳ族元素にⅢ族元素を加えたものである。
このドープするⅢ族元素のことをアクセプタと呼ぶ。
アクセプタには、一般にBやAlが用いられる。
Ⅳ族元素は価電子を4個、Ⅲ族元素は価電子を3個持っているため、Ⅳ族元素にⅢ族元素を少量混ぜると価電子が足りなくなる。
この電子の穴により電気伝導性を示す。
電子の穴のことを正孔と呼ぶ。
正孔、つまりは正電荷が移動しているように見えることから、positiveの頭文字を取りp型半導体と呼ばれる。
実際には電子がホッピングしているため正孔が移動しているように見える。
電子、正孔のことをまとめてキャリアと呼ぶ。
pn接合
n型半導体とp型半導体を接合したものをpn接合と呼ぶ。
このようにp型半導体側を高電位にした場合には、n型半導体とp型半導体の接合面において電子の往来ができる。
つまり電子は流れることができる。
よって2端子は導通する。
この電圧のかけ方を順方向電圧、もしくは順方向バイアスと呼ぶ。
逆にp型半導体側を低電位にした場合には、正孔、電子それぞれ端子側に寄せられてしまい、接合面において電子の往来ができない。
つまり電子は流れることができない。
よって2端子は絶縁状態となる。
この電圧のかけ方を逆方向電圧、もしくは逆方向バイアスと呼ぶ。
n型半導体とp型半導体の接合面付近ではキャリアが存在しない状態になる。
この部分を空乏層と呼ぶ。
空乏層はかける電圧により変化し、高電圧であればあるほど空乏層は大きくなる。
このようにpn接合は電圧をかける方向によって導通状態、絶縁状態が変化する。
後にエネルギーバンド図というものを導入し、そこでもこのpn接合について述べる。
半導体としてSiがよく使われる理由
初期はゲルマニウムを用いて作っていたが、現在はシリコンが使用されている。
その理由として幾種類かが存在する。
- 地球で2番めに多い元素のため、資源が豊富であること。
- 不純物を取り除きやすく、高純度化しやすいこと。 シリコンは大気圧下で1420℃で融解する。
- 単結晶化と不純物の量を調整して、抵抗率が制御しやすいこと。
- 安定した酸化膜ができ、集積化などの加工がしやすいこと。 Si酸化膜は絶縁性能が高い上、界面での欠陥が生じにくい。
SiCは35気圧で2830℃、GaNは45,000気圧で2500℃と扱いにくい。
また、長期間の電気的ストレスを印加しても劣化しにくい。
シリコンを使うデメリットとして、移動度が小さいというものがある。
実際には、石英るつぼから酸素原子が溶解してしまい、シリコンに混入してしまう。
逆に、そのおかげでインゴットが強固になり、大口径化させることができる。
MOSFET
スイッチング素子として多く用いられるのが、MOSFETである。
CPUやFPGAなどの集積回路は、このMOSFETにより構成されている。
MOSFET
参考文献
- 宇佐美公良『FPGA時代に学ぶ集積回路のしくみ』(2019)コロナ社.
- シリコンに関するQ&A
- シリコンは続くよどこまでも